本書「今度こそわかる P ≠ NP」の概要のページです
本書の概要
世の中には言われてみれば「ああ,そうだね」と,すぐに合点が行くことが結構多い. 幾何の証明の補助線,新商品のアイデア,あるいは学問上の発見,等々, いわゆる,コロンブスのたまご的なことは, 日常から高度な学問分野まで,いろいろなところに顔を出す. 言われれば「なるほど!」と思うような発見である. この種の発見の重要性を コンピュータと数学の言葉で言い表したのが「P ≠ NP 予想」である.
世の中のコロンブスのたまご的発見問題すべてに対し, 高速で実用的なソフトウェアが作り出せれば素晴らしい. しかしながら,世の中はそんなに甘くはなさそうだ, というのが「P ≠ NP 予想」なのである.
そんなの当たり前,と思われるかもしれない. しかし, コンピュータの出現当初より,多くの研究者が挑戦してきて, 未だに解決の道筋すらわからないのである. 実際,21 世紀の 7 大数学難題とも言われている. 本書は, この「P ≠ NP 予想」を議論する上で基礎となる 「計算複雑さの理論」の入門書である.
もう少し詳しくは:
本書の「はじめに」
からの抜粋をご覧ください.
P ≠ NP 予想については:
渡辺の解説ページ「P ≠ NP 予想って何?」
もご覧ください.
本書の読み方: 「読書ガイド」
のページを参考にしてください.
詰まったときの「お助け」も順次追加していく予定です.
本書の目次
第1章 P ≠ NP 予想とは?
第2章 「計算」を議論するために
2.1 「計算問題」とは
2.2 アルゴリズム→原始計算機
2.3 アルゴリズム→組合せ論理回路
2.4 乱択アルゴリズム,乱択計算機
第3章 計算量クラス
3.1 計算量
3.2 クラス P, PSIZE
3.3 クラス NP
3.4 クラス BPP, RP, ZPP
3.5 組合せによる計算量クラス
第4章 計算複雑さ解析法#1 対角線論法
4.1 対角線論法の考え方
4.2 TIME[ell^2] ⊂ TIME[ell^5] の証明
4.3 時間階層定理
第5章 計算複雑さ解析法#2 還元
5.1 還元の考え方
5.2 多項式時間還元
5.3 NP-完全性
第6章 計算複雑さ解析法#3 模倣
6.1 NP ⊆ EXP の証明
6.2 クラス PH
6.3 BPP ⊆ PSIZE ならびに BPP ⊆ PH の証明
第7章 P ≠ NP 予想,最前線
7.1 計算量クラスの新たな特徴付け
7.2 脱乱化の最前線
7.3 回路計算量における下界証明の最前線
参考文献