おっと.そうきましたか.実は,昨日,家で次のようなメッセージをパソコンにタイプして,今日,アップロードしようと思っていたのです. >さて,1年間ということで4月から始めた鼎談も,いよいよ最後になってき >ました.ここらあたりで,各自,最後の締めくくりの一言でもいってみませ >んか? ちょっと早かったようですね.ただ,折角書いたので,載せておきます. ===== 以下はまとめのときに再度? ===== コンピュータ・サイエンスが新しい基礎科学になるのではないか?という考え(妄想?)を無謀にも持ち出して,連載を始めてしまいました.確かに,根上さんが指摘されたように,「基礎科学とは何ぞや」ということすら考えずに議論をはじめてしまったのですから無謀な試みでした. もっと言うと,なぜ「コンピュータ・サイエンスは新しい基礎科学になる」と主張するのか,明確な考えができていないままのスタートでした.今から考えてみると「そんな気がする」という直観の域を脱していなかったかもしれません. しかし,皆さんと議論してもまれていくうちに,私なりに大分と見えてきたように思います.それをまとめてみると,次のようになります. 1.コンピュータ・サイエンスは,様々な学問に対し思考的の道具(単なるソフトではなく,考え方の手段としての道具)を提供できる可能性を持っている学問分野である.(根上さんのいう「手続き的な認識」のための論法なり,分析手法などです.) 2.その意味でコンピュータ・サイエンスは,本質的に社会の要請などとは無関係ではいられない面を持っている.しかし,高度な「思考的の道具」を提供するには,対象となる問題の本質的な理解が必要であり,それには,その対象を「数学する」姿勢が不可欠である.つまり,コンピュータ・サイエンスでも道具をあみ出す部分は,(正しい意味での)数学に他ならない. 3.「コンピュータ・サイエンスが様々な学問に思考の道具を提供できる」のは,コンピュータがいろいろな分野で使われているからではない.それは,コンピュータ・サイエンスが対象としている「計算」が,万能で本質的なもの,つまり,人間が本来持っていた操作的な考え方を形式化したものであるからである. いかがでしょうか?もちろん,言い足りない部分も多いのですが,それを補足していると,また1年たってしまうでしょう.ですので,これをもって私のまとめにしたいと思います. ============= 以上,まとめ,おわり ==============
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