とりあえず,コンピュータサイエンス入門で,私が教えたかった(伝えたかった)ことを並べあげてみます.(ちなみに,実際に取り上げることのできたのは,この一部です.) 1.「計算」とは何かの体験 計算は,非常に単純な操作(たとえば,+1など)の組み合わせでできる,ということ.実は,これは Unix の shell のコマンド群の設計思想にも通じる考え方である.(また,これが計算不可能性や精度誤差の原因でもある.) 2.アルゴリズムの重要性の認識 単純な操作を組み合わせるだけの計算.でも,その組み合わせ方(手順,アルゴリズム)で,とても素晴らしいことが可能になる.また,その組み合わせ方をいいかげんに考えると,どんなスパコンも無用の長物になってしまう,という点. 3.形式的な記述の重要性 コンピュータの上に仕事をのせるには,形式化が重要である.今までは(とくに高校までは),たとえ数学でも,記述や議論に曖昧な点があった.いろいろなことを,純粋に記号を使って表すことができる,という点の認識.そして,形式化することの意義,効用. まあ,こんなところでしょうか.(注:なお,これはあくまで私の担当した授業に関しての話です.コンピュータサイエンス入門の担当教官の間では,まだ統一見解としてまとまってはいません.) |