コンピュータサイエンスの世界へようこそ!
このページは「コンピュータサイエンス」(丸善サイエンス・パレット) のホームページです.
この本は,東京工業大学に入学してきたすべての1年生に対する教養科目「コンピュータサイエンス第1」(一部,「同第2」)の教科書でもあります.よろしければ,その授業ものぞいてみてください.
本の紹介
いまの私たちはコンピュータなしでは生活できないほど,コンピュータが様々なことにかかわっています.でも,なぜコンピュータがそんなにも役立つのでしょうか?どうして色々なことをコンピュータでできるのでしょうか?
こうした疑問に,コンピュータのそもそもの基本である「計算」という観点から 説明したのが本書です.コンピュータの原理やプログラムとは何か,というところからはじめ,「コンピュータ化する」というのはどういうことかを具体的に話していきます.さらにはコンピュータのこれからについても語ります.
難しそうなところは飛ばしながら,気楽に読んでみて下さい.
本書の読み方
コンピュータは(実際に目に見えない部分も含め)私たちの生活に深く関わってきています.なぜ,コンピュータがそれほどまで役に立つのでしょうか?それは様々なことが「計算」として表すことができるからなのです.
本書の題名である「コンピュータサイエンス」は,この「計算」をどのように活かすかを研究する学問分野です.本書は,そのコンピュータサイエンスの基本を紹介し,いろいろなことを「計算」で表す仕組み,つまりコンピュータがなぜ役立つのかの原理を説明することを目的とした本です.
コンピュータサイエンスは,生まれてから 100 年に満たない新しい学問分野ですが,「計算」という新たな世界の観かた --- 計算世界観 --- を与えてくれる興味深い分野です.その考え方やおもしろさを味わって頂ければ幸いです.たとえば,本書の「はじめに」を読まれた後,すぐに第5章に進まれて計算世界観とは何ぞや,というのを実感して頂くことも可能です.
コンピュータサイエンスの考え方は,情報系分野の人たちだけでなく,多くの 人々に重要だと思います.その観点から,東京工業大学では,入学してきた学生さんたちに,理系教養科目の1つとして「コンピュータサイエンス」の入門講義を行ってきました.本書はそのうちの超入門編にあたる部分の教科書に使う目的で作成したものでもあります.このウェブページ群の中には実際の授業のためのページもありますので,それをご覧になりながら読まれるのもよいかもしれません.
教材に使うために,第1章〜第4章には技術的な解説をしている項目がいくつか あります.これらは特に難しいわけではないのですが,演習などを通して理解した方がわかりやすいかもしれません.ですので,読みにくいところ(とくに目次で※印のついている節中のいくつかの項目)は,読み飛ばして下さっても構いません.たとえば,目次で☆印の付いた章や節だけを拾い読みしても十分読めると思います.目次
- はじめに ☆
- 第 1 章 計算をとことん分解してみよう
- 1.1 データの元素は 0 と 1
- 1.2 計算の元素は ±1 と繰り返し ☆※
- 第 2 章 計算を実現する
- 2.1 コンピュータの仕組み ☆
- 2.2 プログラム ☆
- 2.3 計算の万能性そして計算の限界 ※
- 第 3 章 プログラミングへの招待
- 3.1 プログラミングの基本技:配列
- 3.2 プログラミングの基本技:サブルーチン
- 第 4 章 アルゴリズムへの招待
- 4.1 アルゴリズムの工夫とその重要性 ※
- 4.2 より効率のよい計算を目指して ☆
- 第 5 章 計算世界観入門 ☆
- 5.1 シミュレーション
- 5.2 データ・マイニング
- 5.3 情報セキュリティ技術
第 6 章 情報科学技術の未来 - 6.1 新たな計算メカニズムとコンピュータ・サイエンス
- 6.2 知の創出のパートナーをめざして
- 6.3 エピローグ:計算のさらなる探究
- 参考文献
- 索引